母娘の計画は、同居前から遂行されていた。
玲子は、三姉妹との同居前から屋敷で頻繁に寝泊まりするようになると、度々掃除という口実で光一の部屋に入り込んでいた。
それは、彼の性的な好みや趣向を知るためにだった。性欲旺盛な年頃、男の一人部屋といえば、エッチな本やビデオが有るのは当たり前。光一にしてみれば、継母となる玲子が部屋に忍び込んでいるなど、想像すらしていなかった。
棚の中に、無防備な状態で仕舞われていたお気に入りのエロDVD。
好みのタイプはロリ系、体型はポッチャリなど、光一の性的な好みは全て把握されていたのだ。
その情報から、元々は標準体型だった亜希は、彼の好みに合わせポッチャリとした肉感的な体型を作り上げ、奈美は殊更ロリっぽさを演出するよう、髪型を変えて同居に至った。
もし、光一がスレンダーな細身の体型が好みならば、亜希はダイエットしてでも光一の好みに合わしたし、ギャル好きならば、それに合わせて奈美は色っぽさを演出したことだろう。
まず、始めの計画。それは三姉妹が各々光一と肉体関係を深め、彼に後ろめたく罪深い罪悪感を抱かせる事。
金造 と玲子が海外へ飛び立ったあの日から、計画は実行されていた。
屋敷の中、三姉妹と光一だけになった夜の露天風呂。あの時、光一があの場所から覗いている事など、三姉妹は手に取るように分かっていた。充分承知した上で、自らの肉体と、光一好みの恥態をさらけ出し、そして見せ付けていたのだった。
予定通り、猛烈に性欲を昂らせた光一が、瑠依の手に堕ちるのはいとも簡単な事だった。
性的な経験の乏しさを知った瑠依に続き、亜希が光一と交わるのも、もちろん計画通りの事だった。
案の定、光一は亜希の身体に夢中になるが、姉妹と関係する事に、罪悪感と後ろめたさに苛まれる。そんな光一を、自らの肉体を餌に、自分等の思い通りに手懐けるのが、母娘の狙いだった。
更に重い十字架を背負わせるのは奈美の役目だった。しかし、並の誘い掛けでは、光一の良心が奈美との性交を躊躇させるのは明白だった。そこで姉妹は、亜希が手助けに入り、脱衣所で光一の男根をしゃぶり回し、極限まで性欲を昂らせた上で、奈美が光一に跨がった。光一はひとたまりもなく、思惑通り奈美の身体を貪った。
奈美と交わった事で、更に深い負い目を背負った光一。各々との関係が露呈する事を、殊更危惧しているが、当人達は誰が、いつ、どんなセックスをしているのか、全て承知の上だった。
昨晩、亜紀の部屋に入った時、ドアに貼られていたカレンダー。三色に色分けされた丸印とは、彼女らの光一とセックスする当番表だったのだ。
予定通りに三姉妹が関係を持つと、計画は次の段階へと移った。まさに身体を張って骨抜きにし、汗だくになって手懐けた光一を、他所の女に持っていかれては元も子もない。
そのため光一を常に監視し、その動向を全て把握しなければならない。何しろ桁違いの資産家の一人息子。女が色仕掛けで寄ってこない筈がない。
まずは、パソコンや携帯電話の内容を全て把握し、他所の女とやり取りが無いよう監視する腹積もりでいた。もし、そのような兆しでも見えれば、事が進まぬうちに、姉妹があらゆる手段をこうじて全力で邪魔するつもりでいたのだ。
そのためには、彼の持つメールやアカウントのID 、パスワードといった個人情報を盗み取る必要が有った。
姉妹は亜希がパスワードを忘れたと騒ぎ、巧妙に光一の雑記帳の存在を聞き出した。
彼の留守中に離れに忍び込むとして、彼が絶対に離れに戻らないと確信出来るのは、誰かひとりが光一とセックスしている最中である。
元々光一が、執事から受け渡された離れの鍵。彼は唯一のマスターキーと思い込んでいたが、実は渡された鍵こそがスペアキーで、マスターキーは、屋敷の鍵束の中に存在していた。
その鍵で複製された離れの合鍵は、母娘各々が隠し持っていたのだ。
そこで、策をこうじた姉妹は、亜希が車内に誘い出し、予定通り光一と戯れている間に、瑠依と奈美が離れに忍び込み、雑記帳を見付け出していた。雑記帳には、光一の有りとあらゆる個人情報が記されており、姉妹は難なくその情報を手に入れた。
セックスの最中、亜紀の携帯電話にバイブの着信が有ったのも、瑠依と奈美が任務完了の合図を送った空メールの着信バイブだったのだ。
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